(株)大倉の新時代を担う川合洋明社長。
「“選ばれる商品”づくりに安全・安心の視点
は必須。防災士育成で、ハード面への信頼
に加えてソフト面を充実させ、お客様の満足
度をさらに高めることができます」と語る
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■“選ばれた商品”が11万顧客の生活をサポートする
2012年に創業50周年を迎える株式会社 大倉(本店:大阪市北区、東京本社:東京都中央区、川合洋明代表取締役社長。資本金30億円、グループ含む従業員数850名)は、戸建て住宅、ニュータウン開発、分譲マンション分譲など住空間創出事業と会員制リゾートクラブ運営を中心に、顧客の高い満足度を追求する中堅企業である。
大倉は1962年に大阪市で建売住宅の販売会社として創業、その後、大規模ニュータウンの造成・販売、オークラホームの販売、グランコートシリーズのマンション分譲と、住宅事業および関連事業の拡充を図ってきた。また74年に会員制リゾートクラブ「ザ・グラン・リゾート」の運営を開始し、いまでは全国21カ所にホテルを展開、3万人以上の会員を擁する一大リゾートクラブに成長している。
大倉は近年、CI(コーポレート・アイデンティティ)を新たにするとともに、東京本社を設立した。川合洋明社長による清新な新世代リーダーシップのもとで同社はいま、多角的なネットワークを持つ未来型中堅企業として、次の半世紀の飛躍に向けて踏み出した。
その新体制と新たな挑戦の理念は、顧客サービスのさらなる拡充をめざしつつ、その延長上に展開される社会貢献への取り組みによって象徴的に表現されているように見える。顧客満足の追求に連なる社会貢献――その工程を川合社長は次のように語る。
上写真=大倉が開発、優良団地開発事業
表彰のニュータウン「橋本ガーデンタウンさ
つき台」(和歌山県橋本市) 下写真=大倉
グループの会員制リゾートホテル「ザ グラン
リゾート プリンセス有馬」(神戸市北区)
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「当社は、住宅事業とリゾート事業を通じて11万人を超えるお客様のご愛顧をいただいてきており、それが私たちのかけがえのない財産です。こうしたお客様、そして新しいお客様のご愛顧に感謝し、信頼関係を維持し、さらにご満足をいただくところに私たちの新たな取り組みがあります。
私たちはグループとして、住宅・マンション開発事業をはじめ建物管理、リフォーム・建て替え事業、会員制リゾートホテルの運営、そして浄水システム事業やレストラン、スーパーマーケット部門、健康食品、在宅医療部門まで、多角的に展開しています。そのなかで、『超人シェフ倶楽部』(後述)を通じて食育、学校給食への提案を行い、ミキハウスとの連携で子育て支援や『家育』(いえいく。後述)という提案を行っています。
私たちは現状に満足していません。常に未来を見つめ、お客様のライフスタイル、ライフステージに合ったよりよい暮らしのために“選ばれる商品”を生み出す努力を心がけています。そこでは常に、お客様の生活上の『安全、快適、健康』の課題が浮上し、余暇の提案、リフォームの提案、資産の有効活用の提案などの延長上に、環境への提案、防災への提案など、生活をトータルにサポートする提案が行われています」
■阪神・淡路大震災の教訓から浄水装置を“選ばれる商品”に
大倉の“選ばれる商品”づくりの重要なテーマとして「防災」が挙がった。その具体的な展開として、大倉では分譲マンションや戸建て、大規模ニュータウンの開発に際して、災害時用の浄水装置「グランウォーターシステム」を設置している。
この浄水装置は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、宇宙ステーションで水のリサイクルを目指して開発している浄水技術を応用したもので、風呂の湯や雨水、プール、川の水を飲み水に変えることができるものだ。なぜ、浄水器か……その発想の原点は、阪神・淡路大震災にあった。
川合社長は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の体験と教訓について次のように語る。
「阪神・淡路大震災は私にとっても衝撃的な大災害でした。当時私はまだ大阪にいましたが、すぐに同僚たちと被災地に入り、当社物件のお客様をお見舞いしながら、被害状況の点検を行いました。不幸中の幸いではありますが、当社物件へのダメージはほとんどなく、私たちのマンションやツーバイフォー住宅への耐震性能について確信を持つことができました。
しかしいっぽうで、私たちが目の当たりにしたのは、ライフラインの給水管がいたるところで寸断され、水不足に苦しむ被災者の方がたの姿でした。
私たちの会員制リゾートホテルである「ザ グランリゾート プリンセス 有馬」(神戸市)も無事でしたので、ホテルのお風呂を近隣の住人の方々に開放して喜んでいただきました。災害時に命を守る堅牢な建物をご提供できても、命の糧である『水』を保証できないというこのときの教訓から、私たちは“選ばれる商品”の付加価値として浄水装置の設置を決めたのです。
もしもの災害時に家族を守り、地域で助け合うことができる備えとして、これからも安全な飲料水を確保する取り組みを推進していきます」
「超人シェフ倶楽部」が学校給食を通
じて行う食育活動に「スーパー給食」
がある。下写真はその創作メニュー
例で、ファルファッレ茸と野菜のトマト
ソース、マグロのシチリア風サラダ、
柿パン、牛乳で構成
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■食育・家育支援から 「安全・安心」防災士育成まで
顧客のライフスタイル、ライフステージを支えるキーワード、『安全、快適、健康』の実現に向けた努力が、結果として多彩なバリエーションの社会貢献活動にも結実する。その一例が、前述の『超人シェフ倶楽部』支援と、子育て支援にも連なる『家育』だ。
『超人シェフ倶楽部』は「日本の食文化を元気にする」という趣旨のもとに結成されたシェフ・料理人の集まり(一般社団法人)で、「安全でおいしい日本の食文化への貢献」、「食育活動の推進」、「食を通じた地域活性化」をめざす。その活動事例の一つとして「スーパー給食」がある。
「スーパー給食」は、和食やイタリアン、中華料理など食の各分野で活躍するトップシェフが、地元産の食材を取り入れながら学校給食の規定の範囲内でメニューを作成し、学内の給食調理員と一緒に給食をつくる試みで、これまで延べ100以上の小学校などで実施されているという。大倉の食へのこだわりはリゾートホテルの運営が生み出したもので、グループ事業でレストラン経営も行っており、食育支援という社会貢献に結びついた。
『家育』は大倉リフォーム部門の“ブランド”である。食育がわが国の食文化向上に向けたムーブメントとなったように、“住む人とともに家を育てる”大倉の『家育』が、住文化のムーブメントになる可能性がある。
この『家育』コンセプトが、ミキハウス子育て総研との協働に結びつき、大倉は「子どもと一緒に成長する家」の提案を行っている。
■顧客への防災提案に有効――「防災士」の知識・知恵とスキル
川合社長はこうした支援事業を今後も積極的に継続するとしたうえで、再び防災の話題に立ち返った。
「“選ばれる商品”づくりから食育支援、子育て支援などの社会貢献的な活動が生まれていますが、その大前提として、当社の戸建て事業、マンション開発や管理事業、会員制リゾートホテル運営は常に“安心・安全”のもとに成り立っていることがあります。当社のお客様へのいろいろなご提案のなかでも、“安心・安全”はもっとも基本的な課題なのです。
阪神・淡路大震災時では、当社の建物の耐震強度に問題はなかったものの、被災地の飲料水不足という死角があったことで、お客様への災害対応へのご提案については、ハード面の備えだけではなく、ソフト面での知識・知恵・スキルの裏づけも必要だと考えていました。
そんな折に防災士という資格制度を知り、その研修内容や防災士の活動を精査しました。そして、防災士が災害の知識、災害対応のノウハウ、スキルを身につけられるだけではなく、会社、社員が企業市民として、地域防災力の向上へも貢献できることを知りました。
当社の場合、そうした資質を持つ防災士社員の育成が、お客様の安心・安全に向けてのご提案にも有効だと考えたのです」
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災害の多いわが国にあって、企業による防災士育成は、危機管理意識を社員の平時業務に広く深く浸透させるのと同時に、企業市民意識を育てるのに有効である。大倉の場合、自社の危機管理に加えて、防災士の資質が“選ばれる商品”づくりに直結し、ひいては地域社会への貢献に連なる波及効果をもたらすことになりそうである。期待して見守りたい。
▼記事関連リンク:
・株式会社 大倉
・ミキハウス子育て総研「55192.com」(ゴーゴー育児ドットコム)
・「防災士とは」……日本防災士機構
・防災士研修機関(例)……防災士研修センター
〈2010.7.15. by Mitsuo Takashima〉